え~、ロック君が予防注射をした翌日、つまり月曜日のことである。うちに帰ると奥さんが血相を変えて報告する。
「今日、ロック君がよその子に噛まれたの!」
「ぬわにぃ~っ!!!」
詳しく聞いてみると、明確にガブリとやられたわけではないよう。いつもの散歩をしていると、唐突にコーギーが向こう側から走ってきたという。みるとリードもついてないし、リードを持ってる人間がいない。
で、向こうは唸って喧嘩腰。ロックも臨戦体制。ヤバい! と思って慌ててロックを抱き上げたが、わずかにロックのお尻側にコーギーがかぶりついたらしい。しかしまあ、とりあえずその場での明確な惨劇はなかった。
その後からコーギーの飼い主の中年女性が、慌てて駆けてきたらしい。で、女性いわく、「どうしたいですか?」。(いや、どうしたも、こうしたも…)と思ったらしいが、どうもその中年女性、その後形だけは謝罪するもののイマイチ誠実味がないという。
その女性の言うには、首輪が抜けてコーギーが駆け出してしまったらしい。「こんなことないんですけど…」とかゴニョゴニョ言っていたようである。奥さんはとりあえず相手の女性から名前と電話番号を聞いて引き上げた。
で、帰ってからロックの身体を調べてみたが、別段目立った傷もない。あまり相手と係わり合いになりたくもなかったので、奥さんは相手に電話して「別段、異常もなかったですから…」と断りを入れたという。
しかしその後、家で和んでいると、ふとロックの身体に痣があるのに気づいたという。ちょうどお腹の側、下半身辺りの二箇所に、赤い痣があったのである。
すり傷だとは思ったが、奥さんはロック君を連れて行きつけの動物病院まで行った。お医者さんは「穴が開いてるわけではないですけれど、万が一雑菌が入ってるといけないので」ということで、抗生物質を一週間分出してくれたという。
お医者さんの話によると、噛まれた傷が化膿して腐ってきたりすることもあるので、一応の注意をしてくれたようなのである。それでこの二・三日飲ませていたみたいなのだが、本人はいたって元気。いつも通り暴れまわっているので、心配はいらないようである。
ちなみにコーギーというのは、お医者さんの話しによると、ほんわかとした外見とは裏腹に、意外に気性が荒いのだそうだ。それにジャックに比べれば身体もちょっと大きいし、噛む力も強いのだそう。
コーギーは牧羊犬だが、ジャックは狩猟犬。扱うものとしては、牧羊犬のほうがデカいかも。けどジャックも気性が荒いのでは有名である。ロック君も、できたら喧嘩したかったかもしれない。けどそれもできずに一方的にやられて、ちょっと口惜しかったのかもしれない。
それでかどうか奥さんの話だと、喧嘩をし損ねて噛まれた日は、ちょっとロック君的にはしょげてたらしい。散歩のときも奥さんと目を合わせないようにしてたという。
けど僕が帰ってからは、元気だった。どうも安心したらしい。よかった、よかった。なにはともあれ、ロック君の一大危機を救ってくれた奥さんに感謝、カンシャである。
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