幸楽苑のラーメンには何の工夫もない。
麺にコシもなければ、スープに深みもない。
ショッピングセンターのフードコートにあるような、
全国どこにでもある普通のラーメンだ。
しかし、それでいい。
そういうラーメンがしっくりくる日もある。
日本中のラーメン屋全部が個性を発揮したらめんどくさい。
黒板に白いチョークで
「旨いらぁめんつくってます」
とかいうラーメン屋ばかりだと困る。
店員が頭に白いタオル、黒いTシャツばかりだったら嫌になる。
頭にタオルを巻いているのに髭は剃らないラーメン屋ばかりだとダメだ。
幸楽苑のように、何のこだわりもなく、
安くて無個性のラーメンを出す店も必要なのである。
幸楽苑のラーメンは旨くもなんともないから、
色々トッピングを足したりしないし、
スープも頑張って飲んだりしない。
気負いなく食べることが出来る。
だから健康にもいいのだ。
最近のラーメン屋は濃すぎたり辛すぎたり、
過剰な味付けで他店と差別化を図ろうとする。
または、バカな盛り付け、種類の多すぎるトッピングなど、
極端に向かう風潮がある。
それをありがたがる消費者がいるからそうなるのだが、
全てのラーメンがそうなっていいわけじゃない。
何の主張もない、論じる価値もないラーメンも必要だろう。
疲れている日、静かに過ごしたい日、
意味をあまり求めたくない日には、
そういう普通のラーメンにそっと寄り添っていたい。
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